なぜ海外のIT企業の給与は高いのか? ~ 日本のIT企業とは別物 ~

日本のIT企業より給与が高い海外のIT企業(写真:Unsplash)

海外のIT企業は、規模が大きな会社でなくても非常に高い給与を設定する会社もあります。
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一方日本の企業は専門性が高い職種でもあまり給与は高くありません。海外と日本の状況を踏まえ、その理由を説明します。

海外のIT企業の事情(給与が高くなる要因)

a. 転職文化が浸透している

海外では日本より転職文化が浸透しています。ベンチャーや中小のみならず大企業勤務の人も転職します。様々な人が転職し、実績豊富で能力が高い人も転職するため、年収設定が高くなる要因となります。

b. ジョブ(スキル)採用が浸透している

海外ではジョブ採用が浸透しています。そのため直接必要なポジションを募集するため、給与設定がポジションにふさわしい給与設定になります。日本の場合でもベンチャー中心にジョブ採用を行っている会社もありますが、スキルと同時に「年齢相応か?平均的な給与か?その会社にふさわしいか?」などが結局チェックされ、あまり高くはなりません。

c. 求められるスキル・専門性が高い

海外のIT企業が展開する事業は高い技術、特殊なマーケティング分析などが必要な場合が多々あります。そのため求められるスキルが高い職種にニーズがあり給与設定が高くなります。一方日本のIT企業は国内向けに事業展開する場合が多く、世界標準の高い品質を追う会社は日本のIT業界※では少ないです。そのため高い専門性へのニーズが少ないです。※他の業界(例: 自動車、メーカー、商社、ゲームなど)では世界展開するケースも存在します。

d. 年功序列ではない

海外は年功序列ではなく成果主義のため、仕事が実質的に出来る人に高い給与が支払われる傾向があります。一方日本は年功序列型の社会です。年功序列的に権限や報酬が決まる習慣があります。若いうちは低く、年齢が上がるにつれ徐々に給与が上がるシステムです。そのため能力が非常に高い人は不満を持ちやすい仕組みが細部まで浸透しています。転職者が多いベンチャー企業では年功序列的な要素が下がりますが、年功序列的要素が無いということはありません

e. 降格(減給)・解雇があり得る(労働法が違う)

海外の場合、日本より降格(減給)や解雇が多い傾向です。事業の状態が悪くなった場合や企業の戦略が変わった場合は、最悪解雇できる点は高めの給与設定が出来る一因です。日本の場合、減給や解雇は容易にはできず、業績が悪化した場合でも大きなリストラを行う事は少ないです。(昇給が鈍化したり賞与が減り、皆ジリ貧の状態になります。)

f. 国の平均給与が日本より高い / 物価が日本より高い

日本は先進国の中では平均給与が高くありません。

2019年 平均年収(概算) 日本: 450万円、ドイツ : 510万、アメリカ:680万

日本の物価は低いとは言えませんが、賃料や外食費など生活費が日本より高い国は多々あります。特にIT企業が活動する国/都市の物価は高い傾向があります。物価が高いと必然的に給与も高めになります。

g. 事業環境が異なる(新興事業が拡大しやすい)

事業環境が日本より有利な状況になり様々な事業が生まれ、事業規模が大きくなることにより給与水準が上がります。

社会の価値観が違う
海外では、科学・テクノロジー・社会の変革などに強い関心があります。その影響で社会がIT企業を注目します。注目されることによりIT企業は様々な恩恵を受けることができます。
グレーゾーンに対する価値観が違う
日本のスタンスは、実績・継続性・安定性重視を徹底します。一方海外企業は多少のリスクや問題があってもメリットの方が大きければ取り組むスタンスです。(例えばウェブ検索は他人の著作物を検索し表示しており、ウェブ検索が無い時代ではグレーとなります。) そのため海外企業は真新しい取り組みが実施しやすい状態です。日本ではグレーゾーンとなって出来ない事※が海外企業では出来るため、新しい事業が生まれます。
※日本でグレーゾーンを表立ってできるのは、目立ちにくい中堅や中小企業の場合がほとんどです。
世界展開を狙うための環境がある
海外のIT企業はスケーラブルな事業を生み出し、世界展開することで規模を拡大します。人材面、資金調達、協力会社などで事業を生み出しやすい様々な環境があります。また海外の場合、国や自治体までベンチャーを強く後押ししている場合もあります。

h. 企業価値が高く資金調達ができる

「g. 事業環境が異なる」でも触れたように海外ではIT企業に人気があり、ある程度成功しているIT企業はそれ以上の注目を集めています。その結果、企業価値が上がり大きな資金調達が可能になります。そして会社はキャッシュを獲得できるため、高い給与を支払うことができます。この流れは大きな赤字を出している場合でも同様で、儲かっていなくても企業価値の増強を継続できれば問題ありません。例えばtwitterやEvernoteなどは売上・利益だけを見ると規模が小さいですが多額の資金調達を繰り返してサービスの拡大できました。他のIT企業も同様で先行投資で急成長している場合が多いです。

まとめ

上記のような諸々の理由により、IT系事業においては「提供するサービス・ビジネスモデル」「働く人の層」「働き方・業務レベル」「事業規模」「経営方針」などで日本企業と海外企業では大きな違いが出ます

“違い”が大きいため、海外のIT企業と日本のIT企業は安易に比較はできません。海外のIT企業は日本のIT企業とは別物と考えた方が良いでしょう

海外のIT企業のエンジニアやマーケティング職の給与が高いからと言って、日本のIT企業の給与が高くなるということはありません。また海外企業をマネて似たようなビジネスモデルで事業展開してもうまくいくとは限りません。

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